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空き家の売却を考えたら方法は何がある?手順や費用も解説

空き家

空き家を所有している方の中には、「このまま持ち続けていいのか」「どうやって売却したらよいのか」と悩んでいる方が少なくありません。空き家は放置すると、思わぬトラブルや費用負担が生じることもあります。本記事では、空き家の売却方法や必要な手続き、気になる費用や税金についてやさしく解説します。正しい知識を身につけ、安心して空き家売却を進めるためのポイントを詳しくご紹介します。

空き家売却の方法と選び方

空き家を所有している方が売却を検討される際には、いくつかの方法があり、それぞれ特徴や向いている場面が異なります。まず、「空き家をそのまま売却する方法」には、中古住宅として売る場合と古家付き土地として売る場合があります。前者の利点は、修繕や手間をかけずに売却できる点です。一方、古家付き土地として売る場合は、土地を主に評価する買い手に対し訴求しやすくなるメリットがあります。どちらも手間やコストを抑えたい場合に向いています。

リフォームしてから売却する場合は、壁紙や設備が新品となることで空き家の魅力が高まり、内見時に好印象を与えたり、価格設定に自信を持てたりするメリットがあります。一方で、リフォーム費用や工期がかかり、工事中は売却活動ができずタイミングを逃す可能性もあります。また、買主の希望とリフォーム内容が合致しない場合、価格に見合った売却が難しいこともあります。

解体して更地にして売却する場合は、建物の老朽化による維持管理費を削減できるうえ、新築を検討する買い手や多様な用途を考える買い手に広くアピールできます。ただし、解体費用がかかり、固定資産税の優遇がなくなる場合がある点には注意が必要です(詳しくは以下の表参照)。

買取業者に直接売却する「買取」は、仲介手数料が不要で、契約不適合責任を免除できる場合も多く、早く現金化したいときに適しています。ただし、買取価格は仲介よりも低くなる傾向があります(市場価格の5〜8割程度)。

自治体の「空き家バンク」などのマッチングサイトを利用すると、掲載費用や仲介手数料が不要で、自分で買主を探せるメリットがあります。ただし、内見対応や契約調整などを自分で行うため、手間や法的リスクが伴い、時間もかかる場合があります。

以下に主な方法をまとめた表をご覧ください。

売却方法メリットデメリット
そのまま売却(中古住宅または古家付き土地)修繕不要・手間少ない建物状態が悪い場合、売れにくいことも
リフォームして売却魅力が高まり価格アップも期待できる費用・工期がかかり、タイミングを逃す可能性あり
解体して更地売却買い手の幅が広がり早期売却も可能解体費用と税優遇喪失のリスクあり
買取手間が少なく早く現金化、責任免除も価格が相場より低め
空き家バンク等掲載・仲介手数料なしで費用抑制自ら対応が必要で時間と労力がかかる

それぞれの方法には特性があり、空き家の状態やご希望のスケジュール、費用や負担の許容範囲に応じて選ぶことが大切です。信頼できる情報に基づいて、空き家の売却方法をじっくり検討しましょう。

空き家売却にかかる費用と税金

空き家を売却するときには、売却準備から手続き、税金まで様々な費用が発生します。以下に、空き家を所有している方が知っておくべき主な費用と税金の内容を整理しました。

費用項目概要目安
仲介手数料不動産会社に売却を依頼する際に支払う報酬売却価格×(3%+6万円)+税が上限(例:3,000万円なら約105万円+税)
印紙税売買契約書に貼る収入印紙の税金例:1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超〜1億円以下は3万円
登録免許税・登記関連抵当権抹消や相続登記などに必要な税金・専門家報酬抵当権抹消登記:登録免許税1,000円/筆+司法書士報酬1万〜3万円程度
相続登記:登録免許税(固定資産評価額×0.4%)+司法書士報酬5万〜10万円

仲介手数料は、売却価格に応じて上限が法律で定められています。具体的には、200万円以下は5%+税、400万円以下は4%+2万円+税、400万円超は3%+6万円+税が上限です。売却価格が3,000万円の場合、仲介手数料の上限は約105.6万円(税抜)となります 。

印紙税は、売買契約書の記載金額に応じて段階的に金額が変わります。たとえば、1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超〜1億円以下の場合は3万円となります 。

登記関連では、抵当権抹消登記が必要な場合、登録免許税は不動産1筆ごとに1,000円が課されます。さらに司法書士に依頼する場合は1万〜3万円程度の報酬がかかります 。相続登記が必要な場合は、登録免許税が固定資産税評価額の0.4%程度(軽減措置がある場合あり)、司法書士報酬は5万〜10万円程度が一般的です 。

さらに、状況に応じて解体費用やリフォーム費用、清掃費用などの実費が発生します。特に解体の場合は、構造別の相場として木造で4〜5万円/坪、鉄骨造で6〜7万円/坪、鉄筋コンクリート造(RC造)で7〜8万円/坪程度が目安です 。

最後に、譲渡所得税に関しては、売却益(譲渡所得)に税率をかけて計算されます。所有期間が5年以下(短期譲渡所得)の場合、所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%の合計39.63%、5年超(長期譲渡所得)の場合は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計約20.315%が税率です 。

さらに、相続した空き家を売却する際には、「相続空き家の3,000万円特別控除」の制度を活用できる可能性があります。この制度に該当すれば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引くことができ、節税効果が大きいのが特徴です 。

売却手続きと流れのポイント

空き家をスムーズに売却するためには、法的な手続きや実務の流れを整理しておくことが大切です。以下では、空き家を所有されている方が安心して進められるよう、主なステップと注意点を表形式でもまとめてご紹介いたします。

ステップ 内容 ポイント
法的準備 相続登記・名義変更、抵当権抹消登記 登記が済んでいないと売却できません。共有名義の場合は全員の同意が必要です。
売却活動 査定依頼、媒介契約、売却活動開始 複数社に査定依頼し、適切な媒介契約を選ぶことが重要です。
売買契約から引渡し 売買契約の締結、決済・引渡し、登記手続き 売買契約締結時には手付金・契約不適合責任内容の確認、引渡し時には登記・鍵の受け渡しを適切に。

まずは、空き家の名義がご自身になっているかをご確認ください。相続登記が済んでいない場合には、法務局で名義を変更する必要があります。共有名義の場合には、全員の合意が欠かせません。また、ローンの残債などにより設定されている抵当権がある場合には、抹消登記を行う必要がございます。これらはいずれも司法書士の支援を受けるのが一般的であり、時間に余裕を持って手続きを進めることが肝要です。

次に、不動産会社に査定を依頼し、媒介契約を締結して、売却活動をスタートいたします。査定は複数社に依頼し、査定額だけでなく対応や実績を比較することが大切です。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の三種類があり、それぞれに特徴がありますので、慎重に選んでください。

売買契約を締結する際には、手付金の受領や「契約不適合責任」などの条項を確認し、将来のトラブルを防止するために、物件の状態や修繕歴などを正確に伝えることが重要です。契約後には、決済と引渡しを行い、不動産の所有権移転登記や抵当権の抹消登記など、登記手続きを司法書士に依頼して完了させます。引渡し時には鍵や設備の取り扱い説明書なども忘れずに引き渡しましょう。

なお、更地にしたうえで売却する場合には、固定資産税の軽減措置の有無を踏まえた解体のタイミングも考慮する必要があります。建物がある間は住宅用地としての税負担が軽く、更地にすると税額が上がることが一般的ですから、売却のスケジュールに合わせて解体時期を調整してください。

最後に、譲渡所得が生じた場合には、確定申告の必要があります。特に相続した空き家については「3000万円の特別控除」が適用できるケースもございますが、この場合でも申告は必須です。売却益が発生していなくても申告漏れを防ぐために、税務署や税理士に相談のうえ、期限に注意して進めましょう。

このように、空き家売却では登記や契約、税務に至るまで多くのステップがありますが、ひとつずつ準備を進めることで安心して売却を進めることが可能です。

売却を進める上での注意点と管理の重要性

空き家を安心して売却するためには、所有期間中にどのような点に注意を払い、適切に管理していくかが重要です。以下の3点について、特に留意して進めましょう。

注意項目 内容
管理不全・特定空き家の指定 放置状態が続くと自治体により「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定され、住宅用地の固定資産税軽減措置が解除され最大で6倍になるリスクがあります。指定される前に修繕・清掃・換気などの最低限の管理を行いましょう。自治体からの指導や勧告に迅速に対応することが重要です。
契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任) 売却後に雨漏りやシロアリ被害などを買主が発見した場合、「契約不適合責任」を問われ、修理や補償を請求される可能性があります。売却前には建物状況を正確に確認し、重要事項説明や契約書に正確に記載しておくことがトラブル防止につながります。
住宅ローン残債と維持管理 住宅ローンが残っている場合、売却時にローンの完済手続きや抵当権抹消登記が必要になります。また、売却が決まるまでの間、雑草の除去や定期的な換気、郵便物の整理などを行い、近所への迷惑や資産劣化を防ぐ維持管理も重要です。

これらの注意点を踏まえて、所有中の空き家については早期に状態を確認し、必要な対応を行うことで、安心してスムーズな売却活動につなげることができます。

まとめ

空き家の売却には、現状のまま売る、リフォームや解体を検討する、または自治体の制度を活用するなど、多様な方法があります。それぞれ特徴や費用、税金の仕組みが異なりますが、ご自身の状況やお考えに合った選択が大切です。準備段階では法的な手続きや費用の見積もりを怠らず、売却活動を計画的に進めることが、トラブルの予防と円滑な売却に繋がります。空き家の管理や情報提供も丁寧に行い、より良い条件で売却を実現しましょう。私たちは、相談の段階から売却完了まで親身にサポートいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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執筆者紹介

小川 浩司

代表取締役

キャリア30年

保有資格

行政書士

宅地建物取引士

賃貸不動産経営管理士公認 不動産コンサルティングマスター、他

相続対策、空き家対策、不動産終活についてのコンサルティングを得意としております。
行政書士として登録しており、権利義務や事実証明に関する書類の作成、相続手続きなどの専門性を必要とする案件にも対応しております。
ご相談の内容により、 弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、建築士、社会福祉士等の他の専門家と連携し、お手伝いさせていただきます。いつでもお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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