
親の介護で施設入所後実家どうする?空き家リスクと活用処分の選択肢を解説
親の介護で施設入所が現実味を帯びてくると、次に気になるのが実家をどうするかという問題です。
親が戻る可能性はあるのか、このまま空き家にしておいて大丈夫なのか、売るべきか貸すべきかなど、考えるほど答えが出にくく、不安だけが募りやすくなります。
しかし、施設入所後の実家の扱いは、親の暮らしと家族の将来のお金や安心に直結する、とても大切なテーマです。
この記事では、親の施設入所後に実家へ起こる変化やリスクを整理しながら、残す場合と活用・処分する場合の考え方、そして後悔しないための進め方を、順を追って分かりやすく解説します。
今まさに悩み始めた方が、家族で話し合う際のヒントとして役立つ内容をお伝えしていきます。
親の施設入所後、実家に起こる変化とリスク
親が介護施設へ入所すると、それまで生活の拠点であった実家は、誰も住まない「空き家」になりやすくなります。
総務省統計局の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は令和5年時点で約900万戸と、この20年で約1.4倍に増加しており、空き家の問題は身近な課題になっています。
また、国土交通省も、適切に管理されない空き家が地域の生活環境に影響を与えているとして、空き家対策の重要性を強調しています。
親の施設入所をきっかけに、実家が将来どのような状態になるのかを、早い段階で具体的にイメージしておくことが大切です。
誰も住んでいない実家であっても、所有している限り、固定資産税や都市計画税などの税金は毎年発生します。
加えて、電気・ガス・水道などの基本料金、火災保険料、必要に応じた修繕費や庭木の手入れ費用など、さまざまな支出が続きます。
民間の調査では、空き家の維持管理費は、固定資産税や保険料、管理費用などを合計すると、年間おおむね10万〜20万円程度かかるとされています。
親の介護費用と並行して、こうした実家のランニングコストが家計に与える影響も、冷静に把握しておく必要があります。
実家を長期間空き家のまま放置すると、建物や設備の老朽化が進み、雨漏りや外壁の破損などのリスクが高まります。
雑草や庭木が伸び放題になると、景観の悪化や害虫の発生、ゴミの不法投棄を招くおそれがあり、近隣住民とのトラブルにつながることもあります。
また、管理が行き届かない空き家は、不審者の侵入や放火の危険性が高まるとされ、防犯・防災の観点からも早めの対策が重要です。
こうしたリスクを理解したうえで、親の施設入所後の実家をどのように扱うかを検討していくことが求められます。
| 項目 | 内容 | 想定される影響 |
|---|---|---|
| 空き家化 | 親の施設入所後の無人状態 | 空き家数増加の一因 |
| 維持費負担 | 税金や光熱費の継続 | 家計への長期的圧迫 |
| 管理不全 | 老朽化や雑草放置 | 近隣トラブルや防犯不安 |
親の意思と家族の状況から「実家を残す」場合の考え方
親が介護施設に入所したあとも実家を残すかどうかを考える際は、まず親自身の希望を確かめることが大切です。
たとえば「体調が回復したら自宅に戻りたいのか」「最期まで施設で過ごしたいのか」といった気持ちを、医師の見立てや介護サービスの担当者の意見も踏まえながら、具体的に話し合って整理していきます。
また、親が判断しにくい状態であれば、過去の会話や暮らし方から「どのような暮らしを望んでいたか」を家族で共有し、できる範囲で尊重していく姿勢が欠かせません。
こうした話し合いに不安があるときは、高齢者や家族の総合相談窓口である地域包括支援センターなどへの相談も役立ちます。
次に、兄弟姉妹それぞれの生活状況や将来設計を踏まえて、実家をどう使う可能性があるかを整理しておくことが重要です。
具体的には、誰かが将来住み替える予定があるのか、一時的な帰省時のみ利用するのか、あるいは仕事や介護の都合で定期的に滞在する「セカンドハウス」のような位置付けにするのかといった点を、費用負担も含めて検討します。
そのうえで、固定資産税や光熱費、修繕費などの維持費をどのような割合で負担するか、意思決定の代表者を誰にするかをあらかじめ決めておくと、後々のトラブルを減らしやすくなります。
特に遠方に住む家族が多い場合は、実際にどの程度利用する見込みがあるかを冷静に見極めることが大切です。
実家を残すと決めた場合は、空き家化による老朽化や災害リスクを抑えるための基本的な管理を継続する必要があります。
国や自治体の情報によると、定期的な通風・換気や通水、室内外の点検、庭木や雑草の手入れを行うことが、建物の傷みや近隣への悪影響を防ぐうえで重要とされています。
あわせて、空き家は人が住んでいる家より火災や盗難などのリスクが高いとされているため、火災保険に加えて必要な補償を検討し、連絡先を近隣に伝えておくと安心です。
自分たちだけでの管理が難しい場合は、民間の空き家管理サービスを利用する方法もあり、状況に応じて組み合わせながら無理のない管理体制を整えることが大切です。
| 検討すべき視点 | 具体的な確認内容 | 家族で決めたいこと |
|---|---|---|
| 親の意思の整理 | 自宅へ戻る希望の有無 | 希望をどこまで優先するか |
| 家族の利用予定 | 将来の居住や一時利用 | 利用頻度と維持方針 |
| 管理と費用負担 | 点検頻度と具体的作業 | 費用分担と責任者 |
親の施設入所後、実家を「活用・処分」する主な選択肢
親が介護施設に入所した後の実家は、家族がどのように関わるかによって姿が大きく変わります。
まず検討しやすいのは、自分たちが住み替えて主な住まいとする方法や、一定期間だけ滞在する場として利用する方法です。
たとえば、実家の近くに勤務先がある場合は通勤時間の短縮につながることもありますし、静かな環境を生かして在宅勤務や趣味の拠点とすることも考えられます。
このように、家族の生活設計と照らし合わせながら、実家を「住まい」として再活用できるかを整理することが出発点になります。
一方で、長期的に住む予定がない場合は、売却を検討することも重要です。
自宅として使っていた不動産を売却した際の利益には、原則として所得税・住民税による譲渡所得課税が生じますが、条件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」などの特例が適用される場合があります。
また、親が亡くなった後に相続した空き家を売却する際には、一定の要件を満たすことで譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除」が設けられています。
これらの制度には、相続後の売却期限や建物の状態など細かな要件がありますので、国税庁の情報を確認しつつ、売却のタイミングや手続きの流れを早めに整理しておくことが大切です。
実家を手放さずに、貸したり一時利用として活用したりする方法もあります。
人が住むことで建物の劣化を抑えられ、空き家のまま放置する場合と比べて防犯面の安心感につながる点は大きな利点です。
一方で、賃貸として貸し出す場合は、貸主としての責任や設備の維持管理、入居者との調整など、一定の手間とコストが発生しますし、短期利用であっても空室期間のリスクや近隣への配慮が欠かせません。
そのため、「収入の確保」「空き家化の回避」といったメリットと、「管理の負担」「トラブル対応の必要性」といったデメリットを比較しながら、自分たちにとって無理のない活用方法かどうかを見極める視点が必要です。
| 選択肢 | 主なメリット | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 自分たちが居住 | 生活拠点の確保 | リフォーム費用負担 |
| 売却する場合 | 維持費負担の解消 | 譲渡所得課税の確認 |
| 貸す・一時利用 | 空き家化の回避 | 管理とトラブル対応 |
親の介護と実家の今後を後悔なく決めるための行動ステップ
親の施設入所が現実味を帯びてくると、介護費用とあわせて実家をどうするかという悩みが一気に押し寄せます。
その場しのぎで決めてしまうと、後から「もっと話し合っておけばよかった」と感じることになりかねません。
まずは家計の状況や資産の全体像を家族で共有し、介護費用と実家の維持費を見える化することが大切です。
誰がどの負担を担うのかを整理することで、具体的な行動の優先順位もはっきりしてきます。
家族会議では、親の年金収入や介護保険サービスの自己負担額、施設利用料の目安を整理しつつ、実家の固定資産税や光熱費、火災保険料などの維持費を一覧にすると状況が把握しやすくなります。
その上で、短期的には親の介護をどう支えるか、長期的には実家を残すか活用・処分するかという時間軸を分けて検討することが有効です。
兄弟姉妹がいる場合は、それぞれの生活状況や経済力の違いも率直に共有し、無理のない分担を話し合うことが重要です。
議事録のように、決まったことと保留事項を書き出しておくと、後の見直しがしやすくなります。
また、地域包括支援センターや自治体の高齢福祉担当窓口では、介護保険サービスの利用方法や費用の目安、成年後見制度や高齢者向けの住宅施策など、幅広い情報提供や相談対応が行われています。
施設入所を検討し始めた段階で一度相談しておくと、親の状態に応じたサービスの組み合わせや、緊急時の連絡・支援体制も確認できます。
さらに、空き家対策に関する相談窓口を設けている自治体もあり、実家をそのままにした場合の管理方法や、利活用や処分に向けた支援制度の有無を前もって知ることができます。
こうした公的窓口を早めに活用することで、家族だけで抱え込まずに選択肢を広げられます。
| 行動の段階 | 主な確認内容 | 活用したい相談先 |
|---|---|---|
| 施設入所前 | 介護費用と実家維持費の把握 | 家族会議・ケアマネ相談 |
| 入所検討期 | 介護サービス内容と公的支援 | 地域包括支援センター |
| 入所後 | 実家の管理方針と将来像 | 自治体の空き家相談窓口 |
親の介護と実家の行方を考える過程では、「親に申し訳ない」「自分たちだけで決めてよいのか」という罪悪感や迷いが生じやすくなります。
しかし、介護を続ける家族が心身ともに疲れ切ってしまえば、結果として親にとっても良い環境を保てなくなってしまいます。
親の生活の安全と尊厳を守りつつ、家族の暮らしと将来の負担も見据えたうえで、現実的な選択肢を比較検討することが大切です。
一度で完璧な結論を出そうとせず、節目ごとに見直しながら進めるという心構えで臨むことで、後悔の少ない判断につながりやすくなります。
まとめ
親の介護で施設入所が決まると、実家をどうするかは多くの方が直面する悩みです。
そのまま空き家にすれば、固定資産税などの負担や老朽化リスクが高まり、対応が遅れるほど選択肢も狭まります。
まずは親の意思と家族の将来の利用予定を整理し、「残す」「活用する」「手放す」を冷静に比較することが重要です。
当社では、介護とお金、実家の今後をトータルで整理しながら、お客様ご家族に合った進め方を一緒に考えます。
ひとりで抱え込む前に、まずはお気軽にご相談ください。