
高齢者の施設入居時に悩む不動産処分は?親の住まい整理の手順も紹介
高齢の親御様が施設入居を検討する際、「住まいをどうするか」という悩みは多くのご家族が直面する問題です。家が空き家になることで管理や固定資産税、老朽化リスクなどの課題が生じやすく、親御様の今後の生活資金やご自身の安心のためにも、早めの対策が求められます。本記事では、施設入居に伴う不動産処分の基本や必要な手続き、進め方のポイント、安全な住まい整理のコツまで、役立つ情報を分かりやすく解説します。大切なご家族を支える一歩として、ご参考になさってください。
親が介護施設や老人ホームへ入居する際に生じる不動産処分の基本
介護施設や老人ホームに親が入居すると、これまで住んでいた実家が空き家になるケースが少なくありません。直近の調査では、入居後に「売却した」が約18%、「空き家状態」が約18%と、実に約2割ずつの家庭が売却または空き家化という形で対応している現状が明らかです。これは、家族・親族が住み続ける割合(約29%)より少ない数値であるため、早期の判断が求められる状況にあります
また、背景には日本全国で進行する高齢化と少子化の影響があり、総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、2023年時点で空き家数は過去最多の900万戸を超え、その多くは相続によって所有者が高齢の世帯に属している点が特徴です。相続・贈与による取得が全体の約61.6%を占め、空き家の増加を後押ししています
さらに、不動産を所有したまま放置すると、固定資産税の負担や建物の老朽化、事件・事故や火災などによる売却困難化、最終的には損害賠償責任などのリスクも高まります。そのため、施設入居後はできるだけ早く処分を検討することが、財産価値の維持や負担軽減の観点から非常に望ましいといえます
以下に、この状況の理解に役立つ内容を表形式でまとめています。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 実家の現状 | 売却/空き家化(各約18%)、家族が住み続ける(約29%) | 空き家化が少なくない |
| 背景 | 高齢化・少子化、相続による取得増加(約61.6%) | 構造的に空き家増加 |
| リスク | 税金・老朽化・事故・賠償責任 | 早期処分が望ましい |
不動産処分にあたって知っておきたい制度や手続き
親が介護施設などに入居した際、自宅など高齢者ご本人名義の不動産を処分する場合には、まず「成年後見制度」が関係します。認知症などにより判断能力が低下しているとみなされると、成年後見人が選任されますが、たとえ後見人であっても「ご本人が現在居住していた、あるいは将来戻る可能性のある居住用不動産」を売却・処分するには、家庭裁判所の許可が法律で義務付けられています(無許可で行うと無効になるおそれがあるため注意が必要です)
一方で、「家族信託」を活用した場合、受託者が信託財産(ご本人名義の不動産)の管理や処分を行うことができ、家庭裁判所の許可を経ずにスムーズに処理できる点が特長です。また、判断能力が不十分になる前に信託契約を結んでおくことで、将来の手続きが格段にやりやすくなります。
さらに、資金の工夫として「リースバック」という選択肢もあります。これは、住宅を売却した後でもそのまま住み続けられる仕組みで、売却と同時に資金を得たい方、住み慣れた家に住み続けたい方には有効です。ただし、売却額が通常評価額の5〜7割程度となることや、賃料の負担が継続すること、契約条件や期間によっては退去が求められる点など、利用時には注意が必要です。
| 制度・仕組み | 概要 | 家庭裁判所の許可 |
|---|---|---|
| 成年後見制度 | 認知症等で判断能力が低下した方の財産・権利を保護する制度 | 居住用不動産の処分時は許可が必要 |
| 家族信託 | 信頼できる家族に財産管理・処分を託す制度 | 信託契約があれば家庭裁判所の許可は不要 |
| リースバック | 住宅を売却し現金を得つつ、売却後も引き続き住める仕組み | 許可不要(ただし条件や負担の確認が重要) |
処分の手順とポイント
介護施設や老人ホームへの入居後に実家が空き家となったとき、不動産の売却や処分を検討するにあたっては、以下のような手順と注意点がございます。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 相続登記 | 売却前に名義を正式に変える手続き | 2024年4月以降、義務化されており過料の対象となることもあります |
| 空き家売却の流れ | 売却方法の選択(現状売却、解体、更地など)や契約準備 | 解体後の更地売却は買主が広がりやすく、売却しやすくなります |
| 税金・手続き | 譲渡所得税・住民税・復興特別所得税等の申告や確定申告 | 一定要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられます |
まず、実家を売却する際には「相続登記」が必要です。これは所有権を相続人に移すための法的な手続きで、2024年4月から義務化され、怠ると過料の対象になる点に注意が必要です。
次に、売却までの準備として、「そのまま売却」「リフォームして売却」「解体して更地にして売却」など、さまざまな方法があります。例えば、解体して更地にすることで買主の選択肢が広がるというメリットがありますが、解体費用や固定資産税の変動にも留意が必要です。
税金や手続き面では、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税が課されますが、一定の条件を満たせば「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が適用されます。これは相続開始から一定期間内に売却することが必要で、耐震性のない家屋でも、耐震工事後または解体後に譲渡した場合に適用されるケースもあります。
さらに、譲渡所得に関する確定申告は売却の翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要がございます。必要書類や控除の要件を事前に整理しておくことで、申告の負担を軽減できます。
早めに専門家へ相談することで、相続登記の進め方や控除の適用要件など、スムーズに進められる点も欠かせません。
終活支援と住まい整理を安心して進めるために
終活・老活において、不動産を整理対象に含めることは、人生の最終段階を見据えた上で非常に大切です。実家やご自身の住まいについて、将来の負担軽減や安心を築くためにも、早めに検討する価値があります。特に、高齢期における資産の整理は、ご自身やご家族が将来安心して暮らせる生活設計を整える第一歩です。
このような住まい整理を進める際には、第三者による支援を活用することで安心感が高まります。例えば、地域包括支援センターや社会福祉協議会では、高齢者の住まいに関する相談を無料で受け付けており、身近な相談窓口として利用できます。また、一般財団法人高齢者住宅財団などでは、家財整理に関する相談・業者紹介のサービスを提供しており、初期段階でも気軽に問い合わせていただけます。こうした機関に相談することで、安全でスムーズな整理を得られます。
さらに、終活支援では多様な専門家と連携した相談が不可欠です。宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー(FP)、ケアマネジャーなどが関与するワンストップ相談体制が整備されつつあります。中間組織(地域の公益財団など)が、行政の相談窓口と民間事業者の間に立ち、終活や住まい整理全般を支える体制を構築する動きも進んでいます。このような支援を活用すると、ご家族の将来設計をしっかり見据えながら整理を進められます。
処分後の生活設計や住まいの見通しでは、以下の3つのポイントを意識すると効果的です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 今後の住まいの方向性を明確にする | 例えば、老人ホームへの転居を想定するのか、賃貸での仮住まいを想定するのか、具体的に考えることで安心感が得られます。 |
| 生活資金や税金の見通しを立てる | 相続税・固定資産税などの影響を踏まえた資金計画や住民票の整理なども整理と併せて考えるとよいです。 |
| 早期の相談・計画が鍵 | 空き家を放置すると固定資産税が高額化するなどのリスクがあるため、早めの対応と計画が安心につながります。 |
まとめ
高齢の親が施設へ入居する際、不動産処分は終活や住まい整理において大きな課題となります。空き家が生じやすい現状や、高齢化・少子化による住宅ニーズの変化をふまえると、早めに具体的な行動へ移すことが後悔のない暮らしの基盤となります。専門的な手続きや資金の工夫も含め、相談を重ねながら進めることで、ご家族が安心して新しい生活設計を描けるでしょう。一歩踏み出して前向きに取り組むことが大切です。