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親が施設入所する際実家の売却は必要か?費用や管理の負担軽減も解説

親施設入所

親御さんの介護が始まり、施設への入所を考えているとき、多くの方が「実家をどうすべきか」で悩まれます。空き家となった実家の管理や、固定資産税といった費用の負担、さらに老朽化や防犯の問題など、見逃せない課題が次々と生じます。本記事では、親が施設に入所する際に実家を売却する必要性や、売却による家計や介護負担の軽減、早期対応のメリットなどを分かりやすく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

なぜ親の施設入所を機に実家の売却が必要とされるのか

まず、親御様が介護施設に入所されると、ご実家は人の住まない「空き家」となります。そのまま放置すると、年間で数十万円にも及ぶ維持管理費や固定資産税などの負担が継続します。特に「管理不全空き家」と行政から判断されると、住宅用地の税制特例が適用外となり、固定資産税が最大で6倍にも跳ね上がる可能性がありますので、財政的な負担が急増します。 

さらに、空き家のまま放置すると建物の老朽化が進み、屋根や外壁の劣化、内部における湿気やカビ、設備の故障といった状態になるリスクが高まります。これらは将来的に修繕費用や解体費用を大きく膨らませる原因となりえます。 

また、防犯面でも問題があります。空き家は空き巣や不法侵入、放火のリスクが高いとされ、地域やご家族にとって危険な状態となりやすいのです。 

こうした負担やリスクを軽減する手段として、ご実家の売却は非常に有効です。売却によって得られたまとまった資金は、介護施設の費用や医療費、将来の生活資金として活用でき、安心して生活を支える資金的基盤となります。 

以下に、内容を整理した表を掲げます。

リスク・負担 具体例 売却による改善効果
維持管理費・税金 年間数十万円、特例失効で税負担が最大6倍に増加 維持費や税負担がなくなり負担軽減
建物の老朽化・修繕費 外壁劣化、湿気・カビ、設備故障などの進行 売却により将来の修繕・解体費用リスクから解放
防犯リスク 空き巣・放火・不法侵入などの犯罪リスク 売却で空き家ではなくなるため安心
資金不足のリスク 介護費用や医療費の負担が重くなる可能性 売却による資金確保で金銭面の安定性向上

このように、介護施設入所をきっかけに実家の売却をご検討いただくことは、財政的・安心面の両方において理にかなった判断となります。

実家をそのままにしておくリスクと早期対応の重要性

親御さまが施設に入所されて実家が空き家になると、そのまま放置しておくのは多くのリスクを伴います。まず、建物の老朽化や荒廃が進むとご近所への悪影響や犯罪誘発につながる可能性が高く、行政から「特定空き家」に指定されると、助言・指導・勧告・命令と段階的に対応が進み、最悪の場合は行政による強制解体(行政代執行)まで行われ、解体費用を全額負担することにもなりかねません。また、固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が最大で6倍近くに跳ね上がる可能性もあります。

問題点具体的リスク影響
特定空き家指定行政指導→勧告・命令→代執行過料・解体費・税負担の急増
遠方管理の困難換気・清掃・庭木手入れが難しい劣化・カビ・害虫発生
費用と手間の継続固定資産税・維持管理費用の継続家計への負担増大

また、ご自身の居住地から離れている場合、定期的な換気や通水、清掃、雨漏りの確認、庭木の手入れなどの管理作業が困難になりがちです。頻繁に現地に行くには時間や費用の負担も重く、結果として実家の劣化や衛生状態の悪化を見過ごしてしまうことが多くなります。特に排水トラップの水切れによる悪臭や虫の侵入、カビの発生などは初期段階での対処が必要ですが、離れていることで対応が遅れると、被害が広がるおそれがあります。

これらの煩わしい管理負担や予期しない出費から解放されるためには、実家を早めに見直し、売却などの対応を視野に入れておくことが肝心です。売却により、長期間放置するリスクと費用の両方から解放され、心身ともに負担を軽くすることが可能です。

実家を売却すると得られるメリットと具体的な必要性

実家を売却することで得られる主な利点には、以下のような点があります。

メリット 具体的な内容
まとまった現金の確保 施設入居費用や介護・医療費など、高額な出費に対応しやすくなります。施設の初期費用や毎月の負担を現金で賄えるため、資金面の安心につながります。実際、施設入居者の月額費用は15万円前後の場合が多く、売却で得られた資金は心の余裕を生む手段となります。
税金・維持管理費の削減 空き家状態で所有を続けると、固定資産税や維持管理費、建物の老朽化・防犯リスクが継続します。売却によってこれらの負担から解放され、経済的にも精神的にも軽くなります。
相続手続きと資産評価の明確化 相続前に売却して現金化しておくことで、相続人間の遺産分割が容易になり、将来的な相続手続きの手間やトラブルを避けることができます。

以下、各項目について信頼できる情報に基づき詳しく説明します。

まず、まとまった現金を得られる点は重要です。施設への入居費用や介護・医療にかかる費用は負担が大きく、実家を売却して資金を確保することで、資金面の不透明さが解消されます。高齢者施設への入居にかかる月額費用が15万円程度となっているケースも見られ、売却資金があることで安心感が得られます。これは実際に親御さんの老後資金として実家の売却を選ばれる方が一定数いるという傾向からも裏付けられます。

次に、固定資産税や維持費の負担から解放されることも大きなメリットです。空き家として実家を残しておくと、税金や定期的なメンテナンス、老朽化・防犯対応のコストがかかり続けます。これらを売却によって一度に解消できるため、経済的にも管理上でも負担が軽減されます。

さらに、相続前に売却し現金化することは、相続時の手続きの簡素化や資産の明確化につながります。不動産は分割が難しく、相続人間でトラブルを生じやすいため、売却によって現金で分配できるようにしておくことは、有効なトラブル回避策となります。

以上のように、実家を売却することで資金面の安定、負担の軽減、相続準備の円滑化といった具体的かつ実質的なメリットを得られます。不動産に関する決断が、親御さんやご家族の将来にわたって安心をもたらす、大切な一歩だといえるでしょう。

売却を決断する際に押さえておきたいポイント

実家の売却を検討する際、まず大切なのは親御さんご本人の意思能力の有無です。不動産の売買契約は、名義人本人が「契約内容や法律的な結果を理解し、判断できる能力(意思能力)」を有していることが必要です。認知症などによって意思能力が低下していると判断されれば、たとえ事前に売却に同意していたとしても、その契約は無効とされてしまうため注意が必要です。金融・建築の専門家による立会いや書面により判断されることもありますので、早めの対応が望まれます。

意思能力が十分でない場合には、「成年後見制度」の活用が有効です。家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、認定されれば後見人が本人に代わって財産管理や売却手続きが可能になります。ただし、申立・審判・鑑定などの手続きに数か月から半年程度を要し、後見人には家庭裁判所への報告義務や費用負担(申し立て手数料や鑑定料、後見人への報酬など)が発生します。後見人には司法書士や弁護士、社会福祉士が選ばれることが多く、たとえば管理財産額に応じて月額2万~6万円程度の報酬が必要になる場合もあります。

さらに、売却に有利な制度として「任意後見」や「家族信託」の活用も検討できます。任意後見では、意思能力が十分なうちに信頼できる家族などにあらかじめ管理を託しておく制度で、認知症進行後も円滑に手続きが可能です。また家族信託では、財産管理や売却の権限を信頼できる相手に移す仕組みであり、将来的な不動産処分をスムーズに進めやすくなります。事前の対策として有効な選択肢です。

下表は、主要な制度の比較ですので、ご家庭の状況に応じて参考にしてください。

制度特徴留意点
法定後見(成年後見制度)意思能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任し、売却が可能に手続きに時間・費用がかかり、後見人の報酬負担がある
任意後見意思能力があるうちに信頼できる人を後見人とする契約を締結できる契約を結んでおく必要があり、認知症進行後は活用できる
家族信託信頼できる家族に財産管理や売却権限を託せる設定・契約に専門家の関与が必要な場合がある

それぞれの制度には目的や適用のタイミング、負担などに違いがありますので、専門家へのご相談をお勧めします。当社では、ご家庭の状況に応じた制度の選択や手続きについて、丁寧にサポートさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。

まとめ

親御さんが施設に入所される際に実家を売却する必要性について、空き家となるリスクや維持管理費用の増加、固定資産税の負担などさまざまな課題があることを解説しました。売却によって得られる資金は介護や医療費の助けとなり、無用な管理の負担からも解放されます。また、適切なタイミングで売却手続きに取り組むことで、将来的な相続や資産管理も円滑になります。できるだけ早めに現状や今後についてご家族で話し合い、納得のいく選択をすることが大切です。

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執筆者紹介

小川 浩司

代表取締役

キャリア30年

保有資格

行政書士

宅地建物取引士

賃貸不動産経営管理士

公認 不動産コンサルティングマスター、他

相続対策、空き家対策、不動産終活についてのコンサルティングを得意としております。
行政書士として登録しており、権利義務や事実証明に関する書類の作成、相続手続きなどの専門性を必要とする案件にも対応しております。
ご相談の内容により、 弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、建築士、社会福祉士等の他の専門家と連携し、お手伝いさせていただきます。いつでもお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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