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親が認知症になったら施設入所はいつ決めるべきか?空き家対策と不動産活用の進め方を解説

親の介護が始まる

親の認知症が進み、そろそろ施設入所を考えた方がよいのか。
実家をどう扱うべきか。
この2つの悩みは、多くの場合同時にやってきます。
介護費用の負担や、自宅が空き家になった後の管理、将来の相続までを見据えると、不動産活用を抜きにした判断は難しくなります。
しかし、認知症の進行度合いや名義の状況次第では、売却や賃貸などの選択肢が大きく制限されることもあります。
この記事では、親の施設入所を検討している方に向けて、空き家対策と不動産活用の基本的な考え方を整理し、今から何を検討しておくとよいのかをわかりやすく解説します。
家族の負担を減らしつつ、親の暮らしと資産を守るためのヒントとしてご活用ください。

親が認知症で施設入所する前に知るべき基本

まず、親の認知症の進行状況と、在宅介護を続けられる限界を整理することが大切です。
厚生労働省などの推計では、認知症の高齢者は今後も増加が見込まれており、早めに介護体制や住まい方を考える必要があります。
施設入所を検討する際には、介護保険が適用される施設サービスの自己負担が原則1〜3割である一方、食費・居住費などの自己負担も発生する点を押さえておくと安心です。
こうした全体像を把握しておくことで、実家の不動産をどう活用するかという視点も含めた資金計画が立てやすくなります。

次に、親が自宅の所有者である場合には、「意思能力」と契約行為の関係を理解しておくことが重要です。
売買契約や賃貸借契約は、内容を理解し自分の判断で行える状態であることが前提とされています。
認知症が進行し、契約内容を十分に理解できないと判断されると、締結した契約が無効となるおそれがあります。
そのため、不動産の売却や賃貸などを視野に入れるなら、親の判断力がしっかりしている段階から方針を検討し、必要に応じて専門家に相談できるよう準備しておくことが欠かせません。

また、親が施設に入所して実家が空き家になる場合、管理や治安、資産価値に関わるリスクを把握しておく必要があります。
総務省統計局の住宅・土地統計調査では、全国の空き家率は約1割強とされ、管理不全の空き家が社会問題になっています。
国土交通省は、管理が不十分な空き家は景観や治安、防災上の支障となり、特定空家等に指定されると行政から指導・勧告、固定資産税の軽減措置の見直しなどを受ける可能性があるとしています。
親の住まいが空き家になる場面では、単に空けておくのではなく、売却や賃貸、定期的な管理など、早い段階から具体的な対応策を検討することが大切です。

確認したいポイント 主な内容 見落としによるリスク
介護費用の全体像 介護保険負担割合と食費等 貯蓄不足や支払い困難
親の意思能力 契約内容理解の可否 売買契約の無効リスク
空き家となる実家 管理方法と活用方針 特定空家等指定や資産毀損

親の認知症と実家名義が不動産活用を左右する仕組み

親が認知症を発症し判断能力が低下すると、自宅の売却や賃貸などの重要な契約は「意思能力」を欠くおそれがあるとして無効や取り消しの対象になり得ます。
この場合、家庭裁判所が選任する成年後見人などが、本人に代わり不動産の処分や管理を行う制度が成年後見制度です。
成年後見制度は、認知症などで判断能力が十分でない人を法律面から支援し、その権利を保護するための仕組みとして位置付けられています。
そのため、施設入所費用の捻出や空き家対策として実家の活用を検討する際には、親の判断能力と成年後見制度の利用可能性を早めに確認しておくことが重要です。

施設入所後も親名義のまま実家を空き家として放置すると、毎年の固定資産税や都市計画税は継続して課税されます。
さらに、庭木や外壁の管理が不十分な状態が続くと、近隣から景観や害虫、防災面での苦情が寄せられることも少なくありません。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、倒壊の危険や衛生上の問題などがあるものは「特定空家等」として勧告や命令、行政代執行、固定資産税の住宅用地特例の解除といった厳しい措置の対象になり得ます。
空き家を放置するほど、経済的負担だけでなく法的リスクも高まる点を押さえておく必要があります。

こうした事態を避けるためには、親が元気なうちから生前の備えを進めておくことが有効です。
例えば、家族信託は判断能力が十分な段階で、自宅などの財産管理や処分を信頼できる家族に託しておくことで、将来認知症になった後も柔軟な不動産活用を可能にする手法とされています。
また、公正証書による遺言を作成しておけば、相続発生後の実家の扱いを巡る家族間の対立を抑えやすくなります。
これらの制度や書面を組み合わせることで、認知症対策と空き家対策を一体的に考えながら、親の意思と家族の暮らしを両立させる道筋を描きやすくなります。

準備の種類 主な目的 認知症発症後の効果
成年後見制度利用 財産管理と権利保護 売却や契約の代理実行
家族信託契約 柔軟な不動産活用 売却や賃貸を円滑化
公正証書遺言 相続と承継の明確化 相続後の方針を安定

親の施設費用に備える実家・空き家の不動産活用パターン

親の施設入所費用は、入居一時金や毎月の利用料、医療費や日用品費まで含めると長期的に大きな金額になります。
そのため、実家や空き家となる自宅をどのように活用するかを早めに検討し、資金計画の柱を明確にしておくことが大切です。
特に、売却による一時金確保と、賃貸などによる継続的な収入のどちらを重視するかで、取るべき手続きや税金の考え方が変わります。
ここでは、代表的な不動産活用の流れと、意思能力や名義、税金に関する基本的な確認事項を整理します。

まず、実家を売却して施設入所費用に充てる場合は、名義人の意思能力があるうちに売買契約を行うことが重要です。
認知症が進行して意思能力が不十分と判断されると、原則として本人単独では売買契約ができず、成年後見人選任などの追加手続きが必要になる可能性があります。
売却益が出た場合には、所得税法上の譲渡所得として課税され、所有期間に応じた長期・短期の区分や、居住用財産の特例適用の可否を確認しなければなりません。
また、売却代金を施設費用にどの程度充て、残りをどのように管理するかも、家族で事前に話し合っておくと安心です。

次に、実家を手放さずに賃貸や駐車場、事業用として活用する方法もあります。
この場合、毎月の賃料収入が施設費用の一部を継続的に補う一方で、建物の維持管理費、設備更新費、空室期間の収入減少といったコストやリスクを考慮する必要があります。
賃貸借契約や駐車場利用契約を結ぶ際にも、所有者の意思能力や名義の確認が不可欠であり、場合によっては管理を家族がどこまで担うかを明確に決めておくことが求められます。
さらに、入居者とのトラブル対応や修繕手配など、日常的な管理の負担を誰が負うかを具体的に想定しておくことが大切です。

活用方法 主なメリット 主な注意点
売却して資金化 まとまった施設費用確保 譲渡所得税の確認
賃貸として貸す 毎月の安定収入 空室・管理負担
駐車場・事業用 柔軟な土地活用 初期整備費用負担
解体して土地活用 老朽化リスク抑制 解体費と固定資産税

さらに中長期的な視点では、解体して土地として活用する方法や、子世代が将来居住することを見据えた活用方針も検討材料になります。
老朽化が進んだ建物を残したまま空き家とすると、修繕費の増大や安全面の不安が生じる一方、更地にすると固定資産税負担が増える場合があるため、費用と安全性のバランスを見極めることが大切です。
将来、子世代が住む可能性がある場合には、リフォームや建て替えの時期、資金計画を含めて、親の介護期間と重ねて検討しておくと、無駄な支出や二重投資を避けやすくなります。
このように、売却か保有か、短期か中長期かという視点を整理しながら、親の施設費用と家族の将来設計を両立させる不動産活用を選ぶことが重要です。

親の気持ちと家族の将来を踏まえた空き家対策の進め方

親が長年暮らしてきた自宅には、多くの思い出や生活の安心感が積み重なっています。
一方で、介護の負担や施設入所の必要性が高まると、家族は「住み慣れた家を残したい気持ち」と「安全な暮らしを確保したい現実」の間で迷いやすくなります。
そのため、感情論だけでも損得だけでもなく、親の価値観や健康状態、今後の介護体制を整理しながら話し合うことが大切です。
まずは親の思いを丁寧に聞き取りつつ、家族全員が将来像を共有できる場を設けることが、空き家対策の第一歩になります。

次に考えたいのは、「いつから何を決めるか」という優先順位とおおまかな時期の目安を持つことです。
親の認知症リスクを踏まえると、判断能力がしっかりしているうちに、施設入所の希望や自宅の活用方針を一緒に確認しておくことが望ましいです。
例えば、介護サービスの利用が増えた段階で施設入所の候補を検討し、そのタイミングに合わせて売却や賃貸などの方向性を家族で話し合うなど、段階ごとの検討事項を整理しておくと迷いが少なくなります。
あらかじめおおよその流れを共有しておくことで、急な入院や状態の変化があった場合でも、空き家を放置せずに対応しやすくなります。

さらに、相続が発生した後のことも視野に入れて、実家をどう扱うかという長期的な方針をまとめておくことが重要です。
誰が将来住む可能性があるのか、売却や賃貸の意向はあるのか、管理費用や税金を誰が負担するのかといった点を、兄弟姉妹を含めて早めに話し合っておくと、相続時のトラブルを減らせます。
また、司法書士や税理士などの専門家に相談する際には、不動産の名義やおおよその評価額、親の健康状態、家族構成などの情報を整理して持参すると、具体的な助言を受けやすくなります。
自分たちだけで判断しにくい場合は、こうした専門家への相談を空き家対策の検討スケジュールに組み込んでおくと安心です。

段階 家族で確認したい内容 専門家へ相談する目安
親が元気な時期 住み続けたい希望と将来像 生前の方針整理や遺言相談
介護が必要な時期 施設入所の希望と空き家方針 売却や賃貸の法的手続き確認
相続発生後の時期 相続人の実家の利用意向 名義変更や税金申告の相談

まとめ

親が認知症になる前から、施設入所と実家の将来を一緒に考えておくことが、家族の負担とトラブルを減らす近道です。
意思能力や名義の問題、空き家リスク、税金などは、早く知るほど選べる選択肢が増えます。
売却・賃貸・活用・相続まで、状況に合った最適な方法はご家庭ごとに異なります。
当社では、親御さんの気持ちとご家族の将来を大切にしながら、不動産活用と空き家対策をわかりやすくご提案します。
まずは「何から始めれば良いか」を整理するためだけでも、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆者紹介

小川 浩司

代表取締役

キャリア30年

保有資格

行政書士

宅地建物取引士

賃貸不動産経営管理士

公認 不動産コンサルティングマスター

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、他

相続対策、空き家対策、不動産の終活についてのコンサルティングを得意としております。
行政書士として登録しており、権利義務や事実証明に関する書類の作成、相続手続きなどの専門性を必要とする案件にも対応しております。
ご相談の内容により、 弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、建築士、社会福祉士等の他の専門家と連携し、お手伝いさせていただきます。いつでもお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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