
70代からの終活と不動産の整理術!相続税対策の基本を専門家が解説
70代になり、終活や不動産のこと、相続税対策をそろそろ考えた方がよいのではと感じていませんか。
なんとなく気になりながらも、何から手を付ければ良いのか分からず、そのまま時間だけが過ぎてしまう方は少なくありません。
しかし、不動産を含めた資産の整理や遺言書の準備は、早めに基本を押さえておくほど、家族への負担を軽くし、自分らしい老後の安心にもつながります。
この記事では、70代の方が知っておきたい終活と不動産、相続税の基本的な考え方を、専門用語をかみくだきながら分かりやすく解説します。
まずは全体像をつかむつもりで読み進め、ご自身の状況に当てはめながら、今できる一歩を一緒に整理していきましょう。
70代の終活と不動産・相続税対策の全体像
70代になると、健康や体力の変化をきっかけに「終活」や相続について意識し始める方が増えます。
この時期に不動産を含めた資産の棚卸しを行うことで、自分自身も家族も、今後の生活や相続の見通しを立てやすくなります。
とくに不動産は、金額が大きく分け方も複雑になりやすいため、早めに現状を把握し、どのように承継していくかを考えておくことが大切です。
終活は「相続の準備」だけでなく、「これからの暮らしを安心して続けるための整理」と捉えることがポイントです。
相続税は、すべての相続に自動的に発生する税金ではありません。
国税庁の情報によると、相続税には「基礎控除額」があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるとされています。
遺産総額がこの基礎控除額以内であれば相続税はかからず、超えた部分に対してのみ相続税の対象となります。
したがって、まずは自分の財産がどの程度あるのかを整理し、基礎控除額と比較しながら「相続税がかかる可能性があるかどうか」を大まかに把握しておくことが重要です。
不動産を持つ70代の方にとって、「相続」「贈与」「遺言書」は、それぞれ役割の異なる重要な仕組みです。
相続は、亡くなった後に法律のルールや遺言書の内容に基づき、財産を引き継ぐ手続きです。
贈与は、生きているうちに財産を渡す方法であり、相続税だけでなく贈与税の仕組みも踏まえて検討する必要があります。
遺言書は、自分の意思を明確に残すための手段であり、不動産の分け方や名義をどうするかを具体的に記載することで、将来のトラブルを防ぐうえで大きな役割を果たします。
| 項目 | 主な役割 | 70代で意識したい点 |
|---|---|---|
| 終活全体像 | 財産と暮らしの整理 | 不動産を含めた棚卸し |
| 相続税の基礎 | 課税の有無の判断材料 | 基礎控除額との比較 |
| 相続・贈与・遺言書 | 承継方法の選択肢 | 早めの準備と家族共有 |
不動産の相続税評価額と基本ルールをやさしく解説
土地の相続税評価額は、国税庁が毎年公表している路線価や評価倍率を基に算出されます。
路線価は、おおむね同じ場所の時価の約8割程度を目安として設定されており、相続税や贈与税の計算に用いられます。
一方で建物の相続税評価額は、固定資産税の課税標準となる固定資産税評価額をそのまま用いる仕組みです。
このように、土地と建物では評価の基礎が異なるため、それぞれの考え方を整理して理解しておくことが大切です。
現金は額面通りに評価されますが、不動産は路線価や固定資産税評価額を用いるため、時価よりも評価額が低くなる場合があります。
その結果として、同じ時価の資産でも、現金より不動産の方が相続税評価額が抑えられやすいとされています。
ただし、不動産には維持管理費や固定資産税がかかり、空き家や空室が増えると負担が重くなるおそれがあります。
節税の面だけで判断せず、収支や管理体制も含めて総合的に検討することが重要です。
自宅や実家として利用している不動産については、相続発生時に相続税の対象となるほか、固定資産税も継続して発生します。
賃貸用として保有している不動産は、相続税の評価額が自用地より低くなる傾向がある一方、家賃収入に対して所得税や住民税がかかります。
さらに、相続後に売却を行う場合には、譲渡所得税が発生する可能性があるため、いつどの税金がかかるのかを用途別に整理しておく必要があります。
このように、不動産の用途ごとに税金の種類と発生するタイミングを把握しておくと、終活や相続税対策の具体的な検討が進めやすくなります。
| 不動産の用途 | 主な税金の種類 | 税金が発生する主な場面 |
|---|---|---|
| 自宅・実家 | 相続税・固定資産税 | 相続発生時・毎年の保有時 |
| 賃貸用不動産 | 相続税・所得税 | 相続発生時・家賃収入受取時 |
| 相続後の売却 | 譲渡所得税・住民税 | 不動産売却による利益発生時 |
70代が今からできる不動産の相続税対策の基本ステップ
最初の一歩として、現在の資産と負債を整理し、一覧表の形で「見える化」することが大切です。
現金や預貯金だけでなく、不動産、生命保険、借入金などを漏れなく書き出すことで、相続税の基礎控除額と比べる際の土台ができます。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式で求められますので、まずはご自身の財産規模を大まかに把握することが重要です。
そのうえで、不動産については登記簿の名義や持分、抵当権の有無など、権利関係に誤りがないか丁寧に確認しておくと安心です。
次に検討したいのが、生前贈与や遺言書作成、資産の組み替えなど、代表的な相続税対策の特徴を理解することです。
生前贈与には暦年課税や相続時精算課税などの制度があり、年間の非課税枠や将来の相続税への加算ルールなどが国税庁の資料で示されています。
一方、遺言書は相続税そのものを直接減らすものではありませんが、相続人の間で遺産分割を円滑に進めるうえで大きな役割を果たします。
さらに、不動産と預貯金の割合を見直す資産の組み替えでは、相続税評価額の違いや将来の維持管理費も踏まえて検討することが求められます。
また、70代では老後の生活費を無理なく確保しながら相続税負担を抑える「バランス感覚」が欠かせません。
総務省統計局の家計調査では、高齢無職世帯の平均消費支出が実収入を上回り、毎月の家計が赤字となっている傾向が示されており、長寿化も踏まえると一定の老後資金を手元に残しておく必要があります。
そのため、生前贈与で一度に多くを渡し過ぎると、ご自身の医療・介護費用や住み替え費用が不足するおそれがあります。
段階的な贈与や、居住用不動産を活用しつつ配偶者の生活も守る分け方など、生活資金と相続税対策の両立を意識した計画づくりが大切です。
| 基本ステップ | 主な確認ポイント | 70代の意識したい点 |
|---|---|---|
| 資産・負債の棚卸し | 不動産名義と借入残高 | 基礎控除との比較整理 |
| 対策方法の理解 | 生前贈与と遺言書の役割 | 相続人間の公平感確保 |
| 老後資金との両立 | 生活費と医療介護費 | 贈与は段階的実行 |
遺言書作成と家族への伝え方で後悔しないためのポイント
遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言など、いくつかの方式があります。
自筆証書遺言は自分だけで作成できる一方で、方式不備や紛失のリスクがあるため、法務局で保管してもらう制度を利用する方法も用意されています。
これに対して、公正証書遺言は公証人が法律に定められた方式で作成するため、方式の誤りや偽造の心配が少なく、家庭裁判所の検認手続も不要とされています。
不動産を遺言書に記載する際には、「所在」「地番」「家屋番号」など登記事項証明書の内容に沿った表示を用いることが重要であり、誰が読んでも特定できる書き方を心掛ける必要があります。
相続人の範囲や法定相続分、遺留分の考え方は、民法で定められています。
特に、配偶者や子がいる場合には、それぞれに遺留分が認められており、遺言書で特定の人に大部分の財産を渡す内容としたとしても、他の相続人が遺留分侵害額請求を行う可能性があります。
また、配偶者が先に亡くなった後の二次相続では、子や孫が相続人となり、相続税の負担が変化することがあるため、一次相続と二次相続の税負担を通算して考えることが大切です。
このように、70代のうちから相続人の構成や遺留分、将来の家族構成の変化を踏まえて遺言内容を見直しておくことが、もめ事の予防につながります。
遺言書を作成しても、その存在や保管場所が家族に伝わっていなければ、相続の場面で生かされないおそれがあります。
自筆証書遺言を法務局に預けた場合は、制度の利用状況を家族に口頭や書面で伝えておくとともに、必要に応じて保管証の写しを共有しておくと安心です。
公正証書遺言の場合でも、公証役場に原本が保管されることや、遺言の趣旨を家族に分かる範囲で説明しておくことで、相続開始後の不信感や疑念を和らげることができます。
内容に不安がある場合や、不動産が複数ある、相続人同士の関係が複雑といった事情がある場合には、早めに専門家への相談を検討し、必要に応じて遺言内容の修正や追加を行うとよいでしょう。
| 項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 公証人が内容確認 | 自分で全文作成 |
| 保管と安全性 | 公証役場で原本保管 | 自宅保管か法務局保管 |
| 家庭裁判所の検認 | 原則不要の手続き | 自宅保管分は必要 |
| 不動産記載の注意 | 公証人が表記確認 | 登記事項どおり記載 |
まとめ
70代の終活では、不動産と相続税対策を早めに整理することで、家族の負担と争いのリスクを大きく減らせます。
相続税評価額や基礎控除のイメージを押さえたうえで、「相続」「贈与」「遺言書」を組み合わせることが大切です。
老後資金を守りながら無理のない対策を選ぶには、今ある資産・負債と不動産の名義を正確に把握することから始めましょう。
当社では、現状整理から相続税対策の基本設計、遺言書に記載する不動産内容の整理まで丁寧にお手伝いします。
不安や疑問があれば、小さなことでもお気軽にお問い合わせください。