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高齢者の終の棲家は持ち家と賃貸どちらが最適?比較ポイントや選び方のコツをご紹介

終の棲家

高齢になり、終の棲家として「持ち家」と「賃貸」のどちらが安心なのか迷っていませんか?住み慣れた家に住み続けるのか、柔軟に引越しができる賃貸を選ぶのか、それぞれにメリットや注意点があります。本記事では、高齢者が終の棲家を検討する際の選択傾向や、持ち家と賃貸の特長、適した選び方の視点をわかりやすく解説します。自分に合った最適な住まい選びのヒントをぜひご覧ください。

持ち家と賃貸における実際の選択割合と傾向について

日本の65歳以上の高齢者の住居形態を見ると、持ち家の割合が非常に高く、持ち家(一戸建て)が約76.2%、分譲マンションなどの集合住宅が約8.3%となっており、合計で8割以上に達しています。そのため、高齢者の多くは自身が所有する住宅に居住しているのが現状です。具体的には、居住形態の8割以上が持ち家という状況です。

一方、単身の高齢者世帯に注目すると、賃貸(借家)に住んでいる割合は思いのほか高く、2023年時点では高齢者単身世帯のうち約32.2%が賃貸住宅に住んでいます。つまり、3世帯に1世帯は借家暮らしという構成となっており、単身世帯の中では賃貸割合が高まっている傾向があります。

さらに、高齢者向けの住まい環境にも変化が見られ、バリアフリーなど高齢者等向け住宅設備を備えた住居は、2018年の50.9%から2023年には56.0%に増加しています。具体的には、手すりの設置が44.0%、またぎやすい浴槽が20.5%、段差のない屋内が22.3%などの設備が普及しており、高齢者の住環境改善が進んでいます。

世帯の種類持ち家割合賃貸(借家)割合
65歳以上全体約84.5%
高齢者単身世帯約67.8%約32.2%
高齢者等向け設備完備住宅2018年: 50.9% → 2023年: 56.0%

このように、持ち家が圧倒的に多い一方で、単身の高齢者世帯では賃貸の利用が一定数存在しており、さらに高齢者に配慮した住宅設備の普及が進んでいるという実際の選択傾向が見て取れます。

持ち家を選ぶ場合のメリットと注意点

持ち家を終の棲家として選ぶ場合、まず住宅ローンを完済すれば毎月の住居費が軽くなる点が大きなメリットです。また、持ち家は資産としての価値を持ち、将来的にリバースモーゲージやリースバックなどで資金活用できる可能性があります。これらの仕組みについての認知度は持ち家を所有している高齢者層で20%前後と一定数に上ります。

一方で、固定資産税や住宅の修繕・リフォーム費用、保険料などは老後にも継続して発生します。戸建てでは外壁や屋根の修繕が10〜15年ごとに必要となり、数百万円規模になることもあります。マンションでも築35年を超えると修繕積立金が大幅に上がる傾向があるため、これらも計画的に準備しておく必要があります。

また、将来の住み替えの難しさや相続・処分に関する課題にも注意が必要です。子ども世代に住宅を残す場合でも、資産価値が下がって売却が困難になるケースや、相続トラブルに発展するリスクがあります。さらに、高齢になってからの住み替えや高齢者施設への移行を考えた場合、持ち家をどう扱うかが大きな負担になる可能性もあります。

以下は、持ち家のメリットと注意点をわかりやすく整理した表です。

項目メリット注意点
経済面ローン完済後は住居費が減る
リースバックやリバースモーゲージで資金化
固定資産税や修繕費が継続的にかかる
資産性・相続資産として残せる相続でトラブルになる可能性あり
住環境住み慣れた環境で安心して暮らせる将来の住み替え・処分が難しい

持ち家を選ぶ際は、こうしたメリットと注意点を踏まえて、資金計画や維持管理の見通しを立て、必要に応じてリースバックやリバースモーゲージなど活用の可能性も検討することが大切です。

賃貸を選ぶ場合のメリットと留意点

高齢者の終の棲家として賃貸を選ぶ際には、柔軟な生活設計を叶える利点がある一方で、長期的な家賃負担や契約面での課題にも注意すべきです。

項目メリット留意点
柔軟性 住み替えや間取り変更が容易、税金や大規模修繕費がかからない 長期的には家賃が資産にならず、資産形成につながらない
契約の実情 家賃保証会社や敷金増額で契約可能になるケースあり 年金収入のみでは審査が厳しく、保証人の確保も困難
家賃負担 公営住宅や高齢者向け住宅では補助制度で負担軽減も可能 長期的にみると毎月の家賃支払いが重くのしかかる

まず、賃貸の大きなメリットとして、住み替えの自由度が高く、住居の所有に伴う固定資産税や修繕費などの負担がない点が挙げられます。これは「税金や大規模な維持費がかからない点」として安心感につながります。

ただし、長期的には毎月の家賃が資産にならないというリスクもあります。これは「家賃負担の総額や資産にならないリスク」に直結するため、プランニングが重要です。

次に、高齢者が賃貸契約を結ぶ際の現実的な課題についてです。多くの賃貸では家賃が月収の3分の1を超えると審査で不利になります。例えば年金月額15万円の場合、借りられる家賃は5万円前後となり選択肢が限られます。さらに、保証人の確保も困難であり、50代で審査落ち率約7.5%、70代では約9.4%と高まります。

しかし実務上は、家賃保証会社を活用したり、敷金を多めに設定したり、契約期間を短めにすることでリスクを抑え、希望の物件の契約にこぎつけた例もあります。例えば年金月12万円の高齢者が家賃4.2万円の物件に、家賃保証会社の使用、見守りサービスの導入(2,500円負担)、敷金2ヶ月分、契約1年更新という条件で入居を実現し、トラブルなく継続できています。

さらに、高齢者向け賃貸住宅では、自治体や運営法人による家賃補助制度を活用できることもあります。たとえば、東京都では最大月2万円、大阪市では夫婦で1.2万円、横浜市では夫婦で2万円などの補助が設けられており、家計負担の軽減につながります。 このような補助制度を視野に入れながら、生活費全体のバランスを考えたプランニングが望まれます。

以上のように、賃貸は柔軟で利用しやすい反面、長期的な家賃負担や契約上の制約には注意が必要です。家賃保証会社の活用や補助制度の検討などによって、安心して終の棲家として選びやすくする工夫が重要です。

自分に合った終の棲家の選び方の視点

高齢者が「終の棲家」を選ぶ際には、ご自身の収入や資産、生活スタイルに応じて、費用面と安心面のバランスを考えることが重要です。厚労省や国交省の統計によると、高齢者の賃貸率は約25%にのぼる一方、持ち家を維持することで、ローン完済後の住居費負担を抑えられるケースもあります。ただし、持ち家の場合は固定資産税や修繕積立金などの継続的コストや、改修や見守り設備の設置などの対応が必要になる点も見逃せません (賃貸比率約25%のデータ:国交省など) 。

視点内容ポイント
費用バランス年金収入と住居費の関係持ち家なら資産活用、賃貸なら柔軟性
支援制度活用自治体の住宅改修助成費用負担を軽減し安全性確保
資金活用手段リースバック・リバースモーゲージの検討資金確保と住み慣れた住まい維持

さらに、持ち家や賃貸だけでなく、リースバックやリバースモーゲージといった資金活用の選択肢も視野に入れることで、住まいの安心と資金の両立が可能になります。これらの制度は、自宅を売却せずに資金を得たり、住み続けたりすることができるため、高齢者の暮らしに柔軟性をもたらします。ただし、契約内容やリスクについては事前に慎重に確認しましょう。

自分にとって最適な終の棲家を選ぶためには、ご自身の収入や資産状況、健康や介護リスク、生活日課などを見据えて、選択肢を比較し検討することが不可欠です。自治体の支援や制度を活用しつつ、住まいの安全性と安心感を高める工夫を取り入れることで、将来にわたって豊かで安定した生活を実現できます。

まとめ

高齢者が終の棲家を選ぶ際は、「持ち家」と「賃貸」それぞれの特徴や現実的な課題を知ることが大切です。持ち家は資産価値や住居費の安定に強みがある一方、維持や相続の問題があります。賃貸は住み替えやすさや維持費負担の軽減が魅力ですが、契約の難しさや家賃を払い続ける不安も考慮が必要です。自分や家族の収入、生活スタイル、将来の希望に応じ、行政のサポート制度や多様な選択肢を活用しながら、無理のない住まい選びを心がけましょう。

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執筆者紹介

小川 浩司

代表取締役

キャリア30年

保有資格

行政書士

宅地建物取引士

賃貸不動産経営管理士

公認 不動産コンサルティングマスター、他

相続対策、空き家対策、不動産終活についてのコンサルティングを得意としております。
行政書士として登録しており、権利義務や事実証明に関する書類の作成、相続手続きなどの専門性を必要とする案件にも対応しております。
ご相談の内容により、 弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、建築士、社会福祉士等の他の専門家と連携し、お手伝いさせていただきます。いつでもお気軽にご相談いただけますと幸いです。
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