
70代の遺言書作成は早めが安心?不動産の書き方とポイントを解説
70代になり、そろそろ遺言書作成や相続対策を考えたいが、何から手をつければよいのか分からない。
そのようなお悩みを抱える方は少なくありません。
特に自宅や投資用の不動産をお持ちの場合、不動産の書き方を誤ると、相続人同士のトラブルや手続きの遅れにつながるおそれがあります。
一方で、ポイントを押さえた遺言書を準備しておけば、財産をめぐる不安を減らし、家族の生活を守ることができます。
そこで今回は、70代の方がスムーズに遺言書作成を進めるために押さえておきたい基本ステップと、不動産の記載方法のコツを分かりやすく解説します。
これから準備を始めたい方も、すでに遺言書を書いたことがある方も、ぜひ最後までご覧ください。
70代で遺言書作成を始めるべき理由
70代で遺言書を用意しておくと、自分の意思に沿った形で財産を承継させやすくなります。
とくに不動産は金銭と違い分けにくいため、遺言書がないと相続人同士の話し合いが長期化しやすい財産です。
早めに内容を決めて明文化しておくことで、相続人の精神的な負担も軽減できます。
このように遺言書は、ご自身と家族の双方を守るための大切な備えと言えます。
不動産を所有する70代の方は、典型的な家族状況として、配偶者と子がいる世帯や、配偶者がすでに亡くなり子が複数いる世帯などが多く見られます。
このような場合、誰がどの財産をどのような割合で承継するかが曖昧だと、意見の相違から関係性が悪化するおそれがあります。
また、子が遠方に住んでいる、再婚で前婚の子がいるなどの事情が重なると、さらなる複雑化が生じやすくなります。
そのため、家族構成が変化しやすい70代こそ、遺言書による具体的な指定が重要になります。
遺言書の主な方式として、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自書し押印する方式で、費用を抑えやすい一方、要件の不備があると無効になるおそれがあります。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため形式不備の心配が少なく、原本が公証役場で保管されるので紛失や改ざんのリスクが低いとされています。
体力や判断力の変化が気になる70代では、内容の確実性と保管の安全性の観点から、公正証書遺言を選ぶ方が多い傾向にあります。
| 年代と状況 | 遺言書作成の主な目的 | 向いている遺言書の形式 |
|---|---|---|
| 70代・不動産所有 | 相続人間の公平な承継 | 公正証書遺言中心 |
| 70代・子が複数 | 特定不動産の指定承継 | 内容明確な公正証書 |
| 70代・配偶者のみ | 配偶者生活の安定確保 | 自筆証書または公正証書 |
70代向け遺言書作成の基本ステップと書き方
まずは、ご自身の財産を全体像から把握することが大切です。
不動産、預貯金、有価証券、生命保険金の受取人指定の有無、借入金などを、金融機関名や口座番号、おおよその残高とあわせて一覧にすると整理しやすくなります。
次に、その中で特に相続人同士の分け方で争いになりやすい不動産について、誰にどのような割合で承継させたいかを大まかに考えます。
このように段階を踏んで整理しておくと、後の遺言書の文面を考える場面でも迷いが少なくなります。
自筆証書遺言を作成する場合は、民法で定められた方式に従うことが重要です。
全文、日付、氏名を自書すること、押印を行うことが必須とされていますので、途中で家族が代筆したり、日付のみを印字したりすると無効となるおそれがあります。
財産目録については、自書に代えてパソコンで作成した資料や通帳の写しを添付する方法も認められていますが、その各ページに署名と押印を行う必要があります。
方式を一つでも欠くと、せっかくの遺言書が有効に使えなくなる可能性があるため、丁寧に確認しながら進めることが大切です。
さらに、いわゆる付言事項を活用して、遺言の内容に込めた思いや経緯を言葉で残しておくとよいとされています。
例えば、特定の相続人に不動産を相続させる理由や、他の相続人への感謝の気持ち、兄弟姉妹で協力して暮らしてほしいという願いなどを、簡潔な文章で添える方法があります。
付言事項には法的な拘束力はありませんが、相続人が遺言者の心情を理解する助けとなり、結果として相続手続が円滑に進むことが少なくありません。
内容をまとめる際は、感情的な表現を避けつつ、相手が読みやすい長さと分かりやすさを意識することが大切です。
| ステップ | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 財産の洗い出し | 不動産や預貯金の一覧作成 | 漏れのない網羅的整理 |
| 方式の確認 | 自筆証書遺言の要件確認 | 全文自書と日付氏名押印 |
| 付言事項の作成 | 相続人への感謝と意図説明 | 簡潔で穏やかな表現 |
不動産を正確に特定するために知っておきたい基本情報
遺言書で不動産を相続させる場合は、対象となる不動産を誤解なく特定できるように記載することが大切です。
特に「所在」「地番」「家屋番号」「地目」「地積」などの情報は、不動産登記簿に記録されている内容と一致させる必要があります。
これらの情報があいまいだと、相続人どうしでどの土地や建物を指すのか争いになるおそれがあります。
そのため、遺言書の作成前に登記事項証明書を確認し、正確な記載内容を整理しておくことが重要です。
まず「所在」は、不動産の所在地を示す表示であり、登記事項証明書の「所在」欄に記載されています。
「地番」は土地ごとに付されている番号であり、住居表示とは異なるため、日常生活で使う住所だけでは不十分です。
建物については「家屋番号」が設定されており、これも登記事項証明書で確認できます。
こうした専門用語は聞き慣れないかもしれませんが、いずれも登記事項証明書を見れば確認できるため、落ち着いて1つずつ照らし合わせていくことが大切です。
次に「地目」や「地積」も、遺言書に不動産を記載する際に確認しておきたい情報です。
「地目」は宅地や田など土地の用途区分を示すものであり、「地積」は登記上の土地の面積を示します。
これらは登記事項証明書の「表題部」に記載されており、土地を特定するうえで役立つ情報です。
遺言書に全ての項目を必ず書かなければならないわけではありませんが、少なくとも所在と地番など、登記と対応がつく情報を正確に記載することが望ましいです。
| 項目 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 所在 | 不動産の所在地表示 | 登記事項証明書表題部 |
| 地番・家屋番号 | 土地・建物ごとの番号 | 登記事項証明書表題部 |
| 地目・地積 | 土地の用途区分と面積 | 登記事項証明書表題部 |
70代が遺言書とあわせて行いたい相続対策
まず、不動産を誰にどのような割合で承継させるかを、家族構成と関係性を踏まえて具体的に決めておくことが大切です。
その際には、法定相続人のうち一定の者に認められている最低限の取り分である「遺留分」に配慮しないと、のちに遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
特定の相続人に不動産を集中させる場合でも、他の相続人に預貯金など別の財産を充てるなど、全体としての公平感を意識することが重要です。
あらかじめ家族に考えを共有し、遺言の内容と理由を丁寧に説明しておくことで、感情的な対立の予防にもつながります。
次に、不動産を相続させる内容を決める際には、相続税や将来の名義変更手続きの負担も踏まえて検討することが求められます。
相続税は、課税価格の合計額が基礎控除額である「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合に課税対象となります。
不動産の相続税評価は、宅地であれば路線価方式や倍率方式、建物であれば固定資産税評価額などを基礎として算定されるため、おおよその評価額を把握しておくと安心です。
また、相続登記については、一定期間内の申請が義務化されているため、相続人が手続きを進めやすいように、誰にどの不動産を承継させるかを明確に記載しておくことが大切です。
さらに、いったん作成した遺言書は、70代以降の生活状況や家族関係、資産内容の変化に応じて定期的に見直すことが重要です。
不動産の売却や買換え、相続人の増減などがあった場合には、その都度内容が現状と合っているかを確認し、必要に応じて書き換えることで、実情に沿った相続対策を維持できます。
また、自筆証書遺言を自宅で保管する場合には、紛失や改ざんのおそれがあるため、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する方法も検討すると安心です。
どの方式であっても、保管場所と存在を信頼できる家族に伝えておくことで、相続開始後に速やかに遺言を発見・確認できる体制を整えられます。
| 相続対策の視点 | 確認すべき内容 | 対策のポイント |
|---|---|---|
| 公平性と遺留分配慮 | 各相続人の取得財産 | 不動産と預貯金のバランス調整 |
| 税負担と手続負担 | 不動産の評価額と基礎控除 | 相続税と相続登記の見通し確認 |
| 見直しと保管方法 | 資産と家族状況の変化 | 定期的改訂と安全な保管 |
まとめ
70代で遺言書を作成しておくことは、不動産をめぐる相続トラブルを防ぎ、家族の暮らしを守るための大切な準備です。
財産の洗い出しや不動産の正確な書き方は少し難しく感じるかもしれませんが、専門家が整理のステップから丁寧にサポートします。
誰にどの不動産を承継させるか、相続税や将来の相続登記まで見据えて一緒に考えることで、安心できる遺言書が作れます。
「自分の場合はどう書けばいいか」少しでも不安があれば、まずはお気軽に当社へご相談ください。